第一回座談会|韓ドラに沼落ちした瞬間 ソムリエたちの“はじまりの一作”
書いた人:志野
韓ドラのソムリエでレビューを執筆しているライターのみなさんにお集まりいただき、オンライン座談会を開催しました。今回は、その様子をお届けします。
日頃からお互いのブログを読んだり、SNSでコメントを交わしたりしている間柄ではありますが、ひとつのテーマを囲み、じっくり腰を据えて韓ドラについて語り合うのは今回が初めて。どんな話が飛び出すのか、参加者一同、興味津々で座談会が始まりました。
今回の参加者
カンニム
コロナ禍をきっかけに韓ドラを見始め、その後は韓国映画にも興味を広げる。ジャンルを問わず幅広く視聴するが、特にノワール、アクション、お仕事ドラマが好き。
よるむ
仕事や家族の物語に、ほどよくラブが絡む、まったり・ほっこり・じんわり系が好み。ドロドロした復讐ものは苦手だが、ノワールやゾンビ作品は好きという雑食派。
はむはむ
コロナ禍をきっかけに韓ドラ沼へ。最新作だけでなく、10年以上前の名作を見るのも好き。職業柄、作品のテーマを深く考察したり、心理描写を熱く語ったりしがち。
シオカ
基本的にはジャンルを問わず幅広く視聴する。俳優の演技や声、キャラクターの魅力にも注目している。マクチャンドラマや話数の多い長編作品は、ほとんど見ない。
志野
「韓ドラのソムリエ」の運営者。次に見るドラマがなかなか決まらず、韓ドラ迷子になりがち。永遠の韓ドラ初心者。
韓ドラに沼落ちしたきっかけを教えてください
よるむ:
私は、第一次韓流ブームのときにはハマれなかったんです。
ドラマより映画に興味を持っていた時期もあったのですが、いずれも韓国作品は、病気で亡くなってしまうことが多かったでしょ?(一同笑い)あまり楽しめませんでした。
そんな中ハマったのが『コーヒープリンス1号店(2007年)』です。
志野:
え?それはなぜ?
よるむ:
たまたまフジテレビで放送していたのを見たら、すごく面白くて。明るいラブコメで、不幸な展開がなくて面白かった。
「韓ドラって、こういう明るい作品もあるんだ」と、そこで初めて知りました。
その次の放送枠で始まったのが『アクシデント・カップル(2009年)』。これを見て、決定的に韓ドラにハマりました。
カンニム:
ファン・ジョンミンがドラマ、しかもラブコメっていうのが凄いですよね~。
(一同 驚き)
シオカ:
私は姉や姉の友人が韓ドラ好きだったので、その影響で第一次韓流ブームの頃から見ていました。
当時はまだ配信がなかったので、姉やその友人が貸してくれたDVDを見ていたんです。気に入った場面を何度も繰り返して見たりしていましたね。
その頃は、日本語吹き替えで見ることが多かったです。
はっきり「韓ドラにハマった」と自覚したのは、イ・ジュンギが出演している『イルジメ(2008年)』です。
イ・ジュンギ本人の声が聞きたくて、それからは吹き替えではなく、俳優さんの生の声で見るようになりました。『イルジメ』をきっかけに、視聴スタイルまで変わったんです。
志野:
ジュノより先にイ・ジュンギだったのですねえ~。
シオカ:
ジュノは韓ドラ歴の中では最近ですね!
カンニム:
私は第一次韓流ブームの頃、親が冬ソナを見ていても「ふーん」くらいで(笑い)。
その後も、シオカさん同様、韓ドラ好きの職場の先輩にDVDを押し付けられるという。それが『ガラスの靴(2002年)』っていう、「姉妹生き別れ/白血病/初恋」という韓ドラビンゴがたくさんあるやつで。
よるむ:
よりにもよって『ガラスの靴』とは!めっちゃドロドロしていたような(笑い)。
カンニム:
ですです(笑い)。泣ける系のお話ではあったかな。うろ覚えです。当時のソ・ジソプにもハマらず。今はアクションでハマってるけども。お借りしたものや、地上波かCSでやっていた韓ドラをたまに録画して、一応全話見るけど、全く韓ドラにはハマらなかったです。
その後、配信サイトが一般的になって、家族がNetflixに加入。私はお笑いとか見ていました。
そこで『孤独のグルメ』のような寝る前とかにボーっと見られるドラマはないかな?と探していたときに、たまたま見つけたのが『ゴハン行こうよ2(2015年)』でした。なぜか2だけNetflixにあるっていう。
見てみたら、すっかりハマってしまって。ドラマを通して隣国の食文化に惹かれましたし、ヒロインの食べっぷりも見ていて気持ちがよかったです。ソ・ヒョンジンが黒木華ちゃんみたいで。今よりだいぶふっくらしていてかわいかったのです。恋愛要素がライトだったのも良かったのかもしれないです。
それまで韓ドラに対して持っていた先入観がなくなって、「私は食わず嫌いだったんだな」と思いました。その後はコロナに突入し、『愛の不時着(2019年)』と『梨泰院クラス(2020年)』を見て、沼入りです。
はむはむ:
最初は、母がNHKで放送されていた『冬のソナタ(2002年)』にハマっているのを、横目で見ていました。
カンニム:
田中美里と萩原聖人の吹替ですか?
はむはむ:
そうそう!吹替でした。
自分の意思で見始めてハマったのは、『シークレット・ガーデン(2010年)』です。ちょうど長男の授乳期で、自由に出歩けない時期と重なっていました。
そして次女の授乳期にハマったのが、『100日の郎君様(2018年)』です。
全員:
すごい、毎度授乳期に!
はむはむ:
そうです(笑い)
授乳期って、どうしても家の中に閉じ込められているような生活になりますよね。そんな中で韓ドラは、私に「自由な世界」を見せてくれたんです。
シオカ:
わかる、子育て期にはまりますよね~。
はむはむ:
特に『シークレット・ガーデン』のヒロインはスタントウーマンで、自由で強く生きている。その姿に憧れました。
コロナ禍で韓ドラがブームになったのも、抑圧された現実から逃れたい、別の世界を見たいと思った人が多かったからではないでしょうか。
志野:
これはぜひ、はむはむさんに特集記事を書いてもらわないと!
シオカ:
「授乳と韓ドラ」とかぜひ読みたい!(一同頷く)
志野:
私は以前から、テレビで放送されていた韓流ドラマを単発で見ることはあったのですが、なかなかハマれませんでした。
韓ドラを見るようになったきっかけは、娘が韓国へ留学することになったことです。結局、コロナ禍で中止になってしまったのですが、留学先の国の文化を手っ取り早く知りたいと思って、韓ドラを見るようになりました。
そうしたら、思っていた以上に面白くて。
最初にハマったのが『キルミー・ヒールミー(2015年)』です。主演のチソンさんがとにかくかっこよくて、多重人格者という難しい役どころを見事に演じていました。
カンニム:
えー、どのキャラにはまりました?セギ?フェリーパク?(笑い)
志野:
キャラというより七変化の俳優チソンさんに。普通そこまでやる?って(笑い)。
ドラマを見始めた頃と今とでは、韓ドラを取り巻く状況も大きく変わったと思います。みなさんは、どんな変化を感じていますか?
カンニム:
長く韓ドラを見ている方とお話しすると、ときどき「昔の韓ドラの方がよかった」という声を聞きます。今のファンタジードラマやフュージョン史劇は見てられない、昔の作品の方が凄いからと。『青い海の伝説(2016年)』とか『トッケビ(2016年)』の頃ですかね。
でも個人的には、今の韓ドラの方が、私のようなファンタジーが苦手で、ノワールやお仕事系が好きな者としては、選択肢があって嬉しいです。
志野:
今はジャンルがとても多様になりましたよね。それはいい変化だと思うのですが、一方で、初恋や記憶喪失といった、いわゆる“韓ドラらしいテーマ”が全盛だった頃を懐かしむ方も、一定数いらっしゃるようですね。
カンニム:
初心者の方は、史劇に対してハードルが高いと感じる方が多い印象もあります。日本の時代劇は高齢者向けのイメージがあるけど、韓国史劇って、見ると面白くてハマってしまうので、食わず嫌いはもったいないような……。
よるむ:
時代劇も変わりましたよね~。
シオカ:
変わった変わった!もう長いのはめっきりないですよね?『六龍が飛ぶ(2015年)』みたいな長編史劇。
よるむ:
そうそう。本格史劇は『六龍が飛ぶ』くらいが最後で、それ以降はファンタジーやラブコメの要素を取り入れた、より見やすい時代ものが増えた印象があります。話数が多いのも敬遠されるので。
私の両親のような本格時代劇ファンにとっては少し物足りなくて、中国ドラマへ行ってますね(笑い)
志野:
一方で、昔は選べるジャンルがある程度限られていたけど、今は本当にいろいろな作品がありますよねえ。自分の好みに合わせて選べるようになって、ドラマを探す楽しみは増えましたね。
シオカ:
ファンタジー要素の強い史劇は、史実とは切り離して作られていることも多いですよね。フュージョン史劇ってやつですね。
そのせいかストーリーの中に矛盾しているように感じる部分や、最後まで解明されない謎が残ることもある気が。
最近話題になった『素晴らしき新世界(2026年)』も、私は3周しましたが、結局よく分からないまま残った謎がありました(笑い)。
それでも、作品そのものやキャラクターには魅力があったので、私は普通に楽しめましたけど。ホ・ナムジュンのファンミーティングも近く開催されるようなので、行ってみたいと思っています。
カンニム:
ファンミの頃には飽きてるかも?!(一同笑い)
はむはむ:
私は、見ていた作品と、その頃の自分の生活が強く結びついています。
ドラマのタイトルを聞くと、「この作品を見ていた頃は、ちょうど子育てのこんな時期だったな」と、当時の私生活まで思い出すんです。
(一同頷く)
忙しくて韓ドラを見られない時期もあります。でも、タイミングよく心に響く作品に出会うと、また一気に情熱が戻ってくる。
韓ドラとの付き合い方にも、自分のライフイベントが表れているように思います。
志野:
韓ドラのジャンルが増えたのは嬉しい一方で、選択肢が多すぎて、何を見たらいいのか迷うことも増えました。
カンニム:
本国とほぼ同じくらいのタイミングで配信されると、リアルタイムで見る喜びもあるけど、見ることが消費になってしまってちょっと疲れて、じっくり味わえていないかも……。
あと、作品の好みも人によって大きく違いますよね。好みがわからない人に、漠然と韓ドラをおすすめすることってできないし、よくSNSとかで「これは全人類見るべきドラマだ」と言う人の気持ちが全くわかりません(笑い)。自分の好みが他の人にも受け入れられるのか?と。
志野:
だからこそ私は、ライターのみなさんのレビューやブログを、次に見るドラマを選ぶときの参考にしています。
作品の情報だけでは分からない、「どんな人に合いそうか」「どんな気分のときに見るとよさそうか」が伝わってくるので、とても役立っています。
一同:
おお!まとまったね!(笑い)
また違うテーマでも座談会やりましょう。
それぞれ違う、韓ドラ沼への入り口
今回話を聞いてみると、最初から韓ドラに夢中だった人ばかりではありませんでした。
第一次韓流ブームの頃にはあまり興味を持てなかった人もいれば、作品に対して少し先入観を持っていた人もいます。家族や友人から借りたDVD、偶然つけたテレビ、配信サービスでたまたま見つけた作品など、韓ドラとの出会い方もさまざまでした。
けれど、ある一本の作品をきっかけに、それまでの印象が大きく変わる。その瞬間から、次の作品、さらにその次の作品へと、韓ドラの世界が広がっていったようです。
長く見続けているからこそ、ジャンルの多様化や時代の変化、視聴方法の移り変わりにも気づきます。一方で、昔ながらの韓ドラらしさを懐かしむ気持ちもわかります。
韓ドラの変化とともに、見る側の生活や好みも変わっていきます。それでも、心に響く作品に出会えば、また夢中になれる。そんな息の長い楽しみ方ができることも、韓ドラの魅力なのかもしれません。